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やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 セレブハムエッグ やまま

「自己主張ベタだけど素敵な男性」みたいな居酒屋さんの話

やまま

やまま

先日、知人の結婚パーティーに招かれた。

新郎が所属している会社は男性比率が高く、彼の上司が「まだ“お買いもの”がお済みでない女性のみなさん、みんないい奴らなので。よりどりみどり、揃えていますから」と挨拶して会場が湧いていた。婚活よりも、こんな場所でのふとした出会いが、今後に繋がったりするのだよなあ。

27~28歳ごろ、私はずいぶん婚活に入れ込んだが、今後につながる出会いなんてひとつも得られなかった。

婚活はいわばオーディション。「こいつを手に入れたい」と思わせるセルフ演出大会、化かし合い。1対1のお見合いでもない限り、「私という人間がここにいます」という存在感を示せないと負ける。

フォークダンスを踊るかのようなテンポで初対面を重ねていくのだから、記憶に残る何かがなければ、その人は過ぎ去っていく風景にしかならない。忘れ去られていった風景の中に、きらりと光る男性がいたのかもしれないなあ。いや、婚活市場での自己主張を好まない男性は、そもそも“市場”へ出向かなそうだけど。

そんなことを考えていたら、浅草線・蔵前駅近くに新しくできた「男子厨房酒場 蔵の灯」という居酒屋さんのことを思い出した。

東京・蔵前の居酒屋「男子厨房酒場 蔵の灯」

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 外観

住宅地に佇む2階建てのお店。オープン記念でファーストドリンクと丸鶏の素揚げ(半身)をプレゼントしてくれるチラシを手にしたので、「揚げ物好きとしては見逃せない!」と土曜の18時ごろに伺ってみれば、カウンター席には常連と思しきお客さんが3名。広い店内はまだガランとしていた。

おだやかそうな男性スタッフに案内され、小型のテレビがよく見える席へ。テレビのあるお店って、好き。ひとりで行っても楽しいし、会話の助け舟にもなってくれるし、家でごはんを食べているような安心感がある。

クーポンをつかうことに、抵抗感は抱かない性質なので、おしぼりを手渡されたタイミングで先程のチラシを広げながら、オーダー。

「この、鶏の素揚げと、ハイボールをください」
「あッ、チラシを見ていらしてくださったんですか!ありがとうございます!」

決して若くはないスタッフさんはやさしい笑顔で歓迎してくれた。なんだか、久々に会う従兄弟のお兄さんみたい。

さすがにそれだけというのもさみしいので、おすすめを尋ねると「自家製ハム」を提案された。

ハムって、ハムカツとか、そういうこと?

詳しく聞いてみれば、厨房で10日間ほどかけて調理しているらしい。居酒屋さんでそんな本格的なハムがいただけるなんて、なんだか新鮮だった。ハムのメニュー一覧を拝見すると、きらりと光るお料理を発見。

「じゃ、この”セレブハムエッグ”ください」

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 セレブハムエッグ

飲食店ではよくあるストーリー
初めに作ったのは賄いでした
こんな美味しいハムエッグを商品化しないわけにはいかない
そして誕生いたしました

なんという素朴で愛らしい紹介文でしょう。「そして誕生いたしました」の唐突っぷりに心がときめく。この一文、なくてもいい。なくていいけれど、「商品化しないわけにいかない」で終わるには据わりが悪かったんでしょう。ううっ、かわいい。ときめきついでに、カンパチの刺身も注文だァ!

最初のハイボールに少し口をつけたところで、カンパチ登場。

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680円という価格に対して量が少ないような気もしたが、ひとくちいただいてびっくり。グルメではない雑な我が舌を以ってしても「…これ、おいしい」と唸らされる肉厚なカンパチ。

これはもう、「おいしい」じゃないくて「……おいしい」と表現したい。

最初に“無”になっちゃうほど、うまい。量が少ないなんて思ったことを詫びるばかりだ。

驚きと悦びで気持ちが高揚してきたところで、「セレブハムエッグ」がやってきた。

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この、そこはかとない「賄い」感。豪快な外観に唖然としてしまう。セレブ性はどこいった!

それにしても、ハムってピンク色じゃなかったっけか。こんなに黒いの?ハム界の松崎しげる?首をかしげつつ、その“ハム崎しげる”を一切れつまむと、まあ分厚いこと。ハムというか、”肉”。そのまま口に運べば、広がるほのかな塩気は確かに「ハム」だ!厚いのにジューシーで、ぶったまげた。

舌に塩気が残っているところに、目玉焼きの白身を乗せる。

うん、うまい。

白身部分にも若干のハム汁が交じっていて、これはもう調味料いらず。醤油をかけられたら怒りたくなるくらいだ。そのおいしさに興奮しながら半分ほど食べすすめたところで、いよいよ半熟の黄身の封印を解くことに。

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箸という名の聖剣を突き立て、いざ!

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やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 セレブハムエッグ

黄身の効果で、ハムの塩気はマイルドに。さらにはキャベツの千切りがもっさりと盛り付けられているので、肉汁と絡んだ黄身を余すことなく拭うことができる。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 セレブハムエッグ

ひと皿で何回もおいしい。「セレブってそういうことなのかもな」なんて思っていると、従兄弟のお兄さん……じゃなかった、お店の方がさんまの塩焼きとともに登場。頼んだ覚えはないので、きょとんとしていたら、

「遅くなっちゃってスイマセン、これ、お通しなんです」

ずい、と差し出されたさんまが、こちら。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 お通し さんま

でっか。立派すぎ。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 お通し

iPhone7と比較

あれ、私今日誕生日だった?お店はそれを知っていたの?なんなの?え、お通し?目を白黒させながら尋ねてみる。

「あの、毎回、こんな立派なものをお通しにしてるんですか?」
「その日によりけりですけどね!」

さんまが旬で安いことは知っている。とはいえ1人1尾焼いてくれるなんて、すごくないか。外で食べればさんまの塩焼なんて、500~600円は平気でするぞ!

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 お通し さんま はらわた

ううう、しかも、ちゃんと、ハラワタのあるやつだ…!さんまの塩焼のハラワタと、酒。なんて幸せなひとときだろう。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯

さんまをアテに、やかん酒

カンパチ、セレブハムエッグ、お通しのさんま、もう私の心は感動一色。そこに追い打ちをかけるように現れたのが、鶏の素揚げ。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 鶏の素揚げ

腿の曲線美が、もう、たまらん!

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 鶏の素揚げ iPhone7

iPhone7と比較

ももはプリプリ、胸はあっさり。いくらキャンペーンとはいえ、タダでいただいくだなんて申し訳なさすぎるおいしさ。メニューを調べてみれば、通常時でも700円。安い。価格設定、ちょっと見直した方がいいんじゃないか。そのくらいおいしい。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 鶏の素揚げ 感想

お会計をお願いすると、2人で3,000円ちょい、つまり1人あたり1,500円ほど。いくらなんだって、サービスしすぎじゃないでしょうか。

「ぜひ、また、お待ちしています!!」

厨房からわざわざ見送りに来てくださった店長、またの名をハムマイスター。お店の雰囲気のみならず、彼もとってもハートフルで、本当に居心地のよいひとときだった。ごちそうさまでした。

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 ハムマイスター

ハムマイスターこと片寄店長

お店を出たのは20時前。先客の常連さんたちはまだまだ盛り上がっていたけれど、お店はそこそこ空いていたのが不思議。

初回来店サービスなんてなくたって、通いたくなる。本当にひとつひとつがおいしくて、無駄に元気に接客しない、ごくごく普通の居酒屋さんという雰囲気も最高。

たぶん、まだあまり知られていないのだろうなあ。アピール力がすこし弱いのかも。まるで、婚活市場でアピールできない男性のようではないか。自分を主張したり、自分から女の子に声をかけたり、後日飲みに行こうと誘ったりしないから、なかなか女の子とステディな関係になれない男性。

でも女性だって、みんながみんな「言い寄られたがり」じゃあないんだ。ふとした出会いで「この人は!」と思ったら、女性からガツンとアプローチしますとも。恥なんてかき捨てだぜ。

そんなわけで、この文章は私から「男子厨房 蔵の灯」さんへのラブレター。あまりにも好きだからひとり占めしたい気もするけれど、蔵前に寄った際は訪ねてみて欲しい。ハム最高!

やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 やまま 男子厨房酒場 蔵の灯 外観

男子厨房酒場 蔵の灯
住所:東京都台東区蔵前4丁目5-4 日比ビル1F

(文・やまま)

ライタープロフィール

85年生まれのアラサー銀座OL。独女です。人生の楽しみは食べること。”食べものエッセイスト”を自称し、ブログ「言いたいことやまやまです」にて200件以上の食べもの関連記事を公開中。好物はスーパーの総菜コーナーの白身魚フライと、料理の汁に浸した白米ORパン。お酒はハイボール&焼酎派です。