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雪だるま みかん パーツ

世界にひとつだけのミカンだるま|徒然花

駿河 慧

駿河 慧

コラム・徒然花、今回のテーマは「雪だるま」です。私は、小学生の時に人生初めての雪を体験しました。その時の思い出は、今も心の中に色濃く残る光景です。

人生初の雪

雪 学校

雪があまり降らない地域に住んでいた私が初雪を体験したのは、小学生5年生の時。

まだ通学の時間ではないのに外で同い年ぐらいの子の声がしたことに疑問を覚え、窓を開けた私。目の前には真っ白な雪が降り積もっていたのです。道路では既に、雪合戦を始めている人もちらほら。

私はすぐさま着替えて家を飛び出します。向かった先は学校です。

いつもより30分も早く学校に着いたにもかかわらず、もうすでに何人かが校庭で雪遊びを始めていました。広い校庭で雪遊びをしたいと思ったのは、私だけではなかったようです。私もランドセルを教室に置くと、すぐに校庭に向かいました。

テレビで雪景色を見るたびに、私は雪が降ったら雪だるまを作りたいとずっと思っていました。その夢がやっと叶うのです。

生徒のほとんどがまだ登校していなかったことから足跡がほぼない状態。土で汚れることなく真っ白な状態が保たれていたため、きれいな雪だるまを作るのに絶好のチャンスです。

小さな雪玉を作ると、それを雪の上に置いてひたすら転がしていきます。すると、そこに友人Aが登校してきました。雪だるまを作ろうとしている私の姿を見ると、彼女は「私もやる!」と言って手伝ってくれ、そこから雪だるまは、私とAの2人での共作へとなりました。

普通じゃつまらない、特別な雪だるまを作りたい

雪だるま みかん パーツ
私は雪だるまの頭部、Aは胴体を担当します。始業前には2つとも完成し、胴体の上に頭をのせるところまでできました。しかし問題は、それをどんな雪だるまにするかでした。

イメージとしては、顔のパーツは枝や木の実で作りたかったのですが、都合よく枝は落ちておらず、南天のような木の実がなる木も校庭にはありません。

そこで私たちが思いついたのは“ミカンの皮”です。

その日の給食のデザートはミカン。皮はいつも捨てるだけ。給食が始まる前に先生にお願いをすると、ひとつ返事で了承してくれ、必要な分だけ受け取った私たち。給食が終わって休み時間に入ると、すぐさまミカンの皮を持って雪だるまのもとに向かいました。オレンジの部分を外にして雪だるまの顔に貼り付けたところ、思いのほか目立つ顔ができあがったのです。仕上がりに満足していると、Aが「あっ」と声をあげます。

「ミカンの皮で帽子を作ろう!!」

素敵なアイディアだと思った私は、Aと一緒に雪だるまの頭に皮を次々と貼り付けます。オレンジだけではつまらないと思い、皮の裏側部分も使って色を交互にしながら帽子を作ります。徐々にオレンジの帽子ができあがっていき、最後の1枚を貼り付けると、オレンジの帽子を被った見事なミカンだるまが完成しました。

他の生徒も雪だるまを作っていましたが、雪景色の中では私たちのミカンだるまが1番派手。下校時刻になると、皆が私たちのミカンだるまに注目します。先生たちまでもが見にきてくれて、なんだか誇らしい気持ちになりました。

ミカンだるまは心の中に…

当時はまだ、スマホなんて無い時代。小学生だった私に、写真を撮る発想はありませんでした。そのため、今は記憶の中だけに存在しているミカンだるま。今も大事な思い出として私の心の中に残っています。

雪が積もると、道路にはさまざまな雪だるまが出没します。それを見る度に、またミカンだるまを作りたいという気持ちが湧いてきます。もし今度雪が降り積もったら、久しぶりにAに連絡をして、真っ白な雪景色へ誘いたいと思います。

(文・駿河慧)

ライタープロフィール

水族館は好きだが、生臭いのだけは耐えられない。