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スナック エロい? キャバクラとの違い

スナックはエロい店?キャバクラとの違い、その仕組みと流儀

黒宮丈治

黒宮丈治

アフターファイブ。夜の歓楽街へ向かい、軽くいっぱい引っ掛けて、2軒目へ。酔も回ってくれば、いきつけのスナックへ―

かつては、大人の男の嗜みのひとつであった”歓楽街の飲み屋通い”。しかし、昨今は一部の上級者以外は、いきつけの店を持っている人も減った。1軒ぐらいは馴染みのお店を持っていることが、常識のような時代もあったが、不景気の煽りを受け、足繁く飲み屋に通っていた大人の男たちも、以前ほど通えなくなってしまっている。その煽りは、社会人デビューをした男子たちが、先輩や上司から夜の世界を知る機会を奪ってしまったのだ。

しかし、行かないにしても、その存在がどういったものであるかは知っておいて損はない。特に、スナック、キャバクラ、ガールズバー、クラブがどういったところであるかというのは、知識として持っておくことは、嗜みをしる大人としては重要なことだ。

また、これは男性のみならず、女性にとっても重要な知識だ。男性たちが向かうその店が「エロい店なのか?そうじゃないのか?」が分かるようになるし、例えば「スナック」は時に浮気防止につながることもある。では今夜は「スナック」とは何かを説明しよう。

スナックとキャバクラは、そもそも営業形態が違う

どんな小さな街でも1軒はある「スナック」。しなびた港町あたりにあれば「場末のスナック」と呼んだりもするので、大人であれば耳馴染みの存在だろう。

「あんた!キャバクラに行くの?」
「違うよ、スナックだよ。スナック」

なんて感じで、夫が妻にスナックなら大丈夫だろ?という時代もあったが、最近は夫婦ともにその違いが分からない人も増えたため、もはや聞き慣れない会話になってしまった。

スナック 接客 水割りスナックとキャバクラを、同じタイプの店だと思っている人もいるだろうが、その接客スタイルには大きな違いがある。一番の違いは、対面接客であるか否かだ。

キャバクラは、基本的にソファーに男女が横並びに座り接客をする。男性客1人に対して、女性キャスト=キャバ嬢が1人つくマンツーマン接客が基本だが、キャストが足りない時には男性客2人に対して、女性1人といった「マイナス営業」をすることもある。この場合でも、基本は男・女・男となるように横並びに座ることが多い。あくまでも恋人のような距離感で、触れられる距離で接客するのがキャバクラなわけだ。

それに対してスナックは、カウンター越しに接客する対面接客になる。

お客さんと女性従業員は、カウンターテーブルを隔てて真正面を向き合って話す。しかも、マンツーマン接客が基本ではないため、小さな店ならママ1人で、カウンターに座る8人のお客さんを同時に相手することも珍しくない。また、ボックスなどと呼ばれるテーブル席でも、丸椅子などと呼ばれる小さな椅子に座り、必ず対面接客をする。

これはスナックとキャバクラは、業種として届け出内容が異なり、営業形態としては別のものであるから。もし、仮にスナックで横に座って接客をしていれば、それは違反となり、お店は厳しく指導され、場合によっては営業許可の取り消しになることもある。

スナックが提供しているのは、お酒を作るサービスと、小粋な会話なのだ。あとはカラオケぐらいだろうか。「飲みたいな…」と思っても、気軽に誘える友達がいないなら、スナックに行けば、少なくともそこにママがいる。そのため、男性客のみならず、お酒が好きな女性客も多く見られるのもスナックの特徴だ

スナックの料金体系は「セット」が基本

スナック 料金 セット 金額

料金体系は様々なパターンが存在するが、基本は2つの方式。1杯ごとの料金で計算するスタイルと、セット料金と呼ばれる金額を払うというスタイル。一番の定番はセット料金で飲む「セット飲み」だろう。

セット料金は2000〜4000円あたりが多い。この料金を払えば、閉店まで何時間居ても同じ金額でいることができる。ただし、このセット料金には氷やチャーム(ピーナッツなどの簡単なおつまみ)、あとは水しか料金に含まれていない。中には「割りもの」と呼ばれる、お茶なども含む場合もあるが、基本はあくまでもお酒以外のものと席料と思うと良いだろう。

お酒は、キープボトルを入れるのが基本。ウィスキーかブランデー、そして焼酎あたりがメインだ。価格はお店によるが、安いものだと1本入れても3000円程度だったりする。つまり、ボトルを入れたとしても1日で1万もいかない。しかし、気をつけないといけないのが、その店のママが「あたし、ビールのみたい」と言ったときだ。

何度も言うが、セット料金に“お酒”は含まれていない。つまり「ビール」は別料金。ボトルを入れても、それ以外のお酒をオーダーとして飲まれると、追加料金が発生するのだ。とはいえ、ママに1杯ビールを飲ませるのは、大人の嗜みとしては基本でもある。

10席にも満たないような小さなお店を切り盛りするママにとって、例えばその日、ボトルが1本も入らなければ、セット料金だけでは売上もすずめの涙だ。だからこそ、ママは仕事としてビールを飲む。嗜みを知る大人であれば、席についてすぐに「ママ、何か1杯どうぞ」ぐらい言ってもいいだろう。しかし、中には銭ゲバのようなママもいるので、初めての店ではあまり調子に乗らないことを忠告しておく。

また、ボトルに関しては「ママのボトル」や「ハウスボトル」というのが一部存在する。これは、1杯ごとの注文で頼むお客さん用のものであったり、初めてのお客さんがお試しで飲んでもらったり、たまに「今日はママのボトルでいいよ!」なんて感じで、振る舞う時のためにある。たまに振る舞ってくれるからと言って「今日はママのボトルで飲ませてよ」なんて気安く言うものでなはい。

スナックでのカラオケの流儀

スナック カラオケ ルール 流儀

スナックで、お酒以外の楽しみといえば「カラオケ」だ。店によっては、カラオケが置いてない店もあるので注意。そのため、一部は「カラオケスナック」と表記している店もある。

カラオケは、セット料金に含まれる場合と、そうでない場合の2つがある。かつては、レーザーディスクのカラオケ機で、コインを入れて1曲いくらで歌っていた。しかし最近は、小さな店でも通信カラオケを入れているところも多く、以前のように新曲が入ったディスクを買う必要がなくなったため、1曲いくらという仕組みをやめているところも増えてきた。とはいえ、1曲いくらというのは普通に存在するので、気をつけないと後からガッツリ請求されるので注意。

さて、いざデンモクを握って歌おうとなったら、選曲に気を遣う必要がある。なぜなら、カラオケボックスと違って、見知らぬ人もそこにいて一緒に聴くことになるわけだ。つまりは、そこには暗黙のルールのようなものが存在する

中でも気をつけたいのが、常連の十八番を先に歌ってしまわないこと。どの曲がそれにあたるかは、ママがよく知っているので、もしカラオケのデンモクが手元にあっても、ママか女性従業員に送信ボタンを押してもらうようにするのがベター。そこで「これ、大丈夫かな?」となんとなく、他の人がこれから歌わないかを確認するのも、嗜みの分かる大人である。

また、友人たちとのカラオケでは歌えないマニアックなナンバーを歌いたいという欲求にかられるものもいるだろう。それは構わないが、できればみんなが知っているような曲の方が場の空気が盛り上がる。演歌ならだいたい多少マニアックでも良いが、J-POPであれば福山雅治の「桜坂」のように、老若男女問わず知っていて、落ち着いて聴ける曲がよい。

ただし、あまり無理して、自分の年齢では歌わない古い歌を歌う必要もない。それぞれの世代が、それぞれの世代を歌えば、十八番のかぶりも少なくなるため、ある程度自分の世代の曲で攻めるのはよいことなのだ。

そして基本はバラードのように「しっとり」とした曲がよい。ノリがよい曲も、盛り上がるからOKだが、あまり続くと聴いている側も疲れてしまう。

なぜか?

それは、ノリが良い曲というのはボリュームも大きく、喋り声が聞こえにくくなる。自分は歌っているからいいだろうが、他の客は、女性従業員と会話をしたりするわけだ。それを遮るノリの良い曲は、あまり連続していれるべきではないのだ。あまり続くと、会話ができず嫌気が差して帰ってしまうこともある。こういった「気遣い」を学ぶのもスナックならではだ

そして、例えば自分が歌うまで誰も歌ってなかったとしても、カラオケをあまり連続で入れるのは好ましくない。一度誰かが歌いだせば、周りの客も歌いたくなってくるものだ。そこでマイクを離さずにいると、言わずもがなブーイングの的となる。「オマエの歌を聞くために、きたわけじゃない」と思うのは必然だろう。たとえ歌に自信があっても、気をつけておきたいところだ。

そしてスナックのカラオケといえば、デュエットソングも定番だ。

ステージがあるようなお店であれば、この時だけは女性従業員も横並びで歌ってくれる。そっと肩を抱くなんてことも、歌っているときぐらいは許されるものだ。長年やっているようなお店であれば、たまに社交ダンスを踊る時もあり、誰かがしっとりとしたナンバーを歌えば、それに合わせてママと常連がジルバを踊るなんてのも、スナックならではの光景だ。

スナックはエロくない。だけど…注意

スナック キャバクラ 違い

スナックは「エロい」ところではない。しかし、パートナーがスナックに行くとなったら、絶対安心ではないことを知っておいてほしい。

お店としてはエロいサービスは一切無いが、スナックには男性客のみならず、女性客もやってくる。しかも、飲み友達が欲しいと思っている女性だ。大人の社交場であるスナックでは、たまたま横に座った男女が仲良くなることは珍しくなく、お店を出た後にどうなるかはわからない。そこからはまさに大人の世界だ

もし旦那が近所のスナックに行ってるとした場合、たまに子供を親に預けて、一緒に行っておくとよいだろう。そして、ママの携帯番号あたりを聞き出しておけば、旦那がいつ店を出たのかなどもわかるので、余計な浮気をしなくて済む。むしろ、スナック通いをさせておけば、ある程度居場所もつかみやすく、浮気防止につながるというのもある。

ママからすれば、奥さんに快く送り出してもらわければ、お店に通う頻度が少なくなるため、むしろ積極的に協力してくれるケースは少なくない。客同士が恋愛関係になるのは問題ではないが、こじれて両方共来なくなると、損失の方が大きいのだ。

ママとチーママの違いとは?

スナックは語り尽くせないぐらい、多種多様でディープだ。店によってサービスの種類も、金額も、お店の客層も、何もかもが違う。

ただ、スナックはエロい店ではないのは同じ。服装も露出はあまりなく、スーツか布面積が多いドレス、もしくは全く着飾ってない私服だ。ただし、時折ちょっとお股さんが緩い女性従業員がいることも…なくはない。そこは想像にお任せしよう。

ちなみに、ママとチーママとは何か?という質問をたまにうけるが、チーママは「小さいママ」の略で、お店の中ではママのサポートをする立場にある女性のこと。

「え?ママが2人いるの?」と思うかもしれないが、スナックといえば基本、1軒に1人はママがいる。しかし、ママがオーナーでなく経営権を別の人物が持っていることもあり、言うならばママはお店の「店長」で、ママが不在時でもママの代わりになれる存在が「チーママ」。そして、それ以外は全てコンパニオンというわけだ。

1人だと休むに休めないから、チーママが存在するケースと、ママが老齢で若い女性ママを置いたほうがよいから、チーママを立てているケースなど様々な理由がある。いずれにしても、チーママと呼ばれている人がいるということは、それ以外にママがいるということだけ覚えておけば良い。

ちなみに男性従業員が、1人いることはよくある。「マスター」と呼ばれることが多いが、ママの彼氏や旦那であったり、あくまでも雇われなだけであったり様々。そこは変に関係を聞き出さないのも大人のルール。そして、見た目は穏やかでも、何か揉め事があったら仲裁に入る役目であり、それなりに腕に覚えがあったりするので、間違っても喧嘩は売らないように。

今宵も、街角のスナックでは、暖色の灯りの下、氷の揺れる音と、笑い声がこだましていくことだろう。スナック未体験の人は、一度訪れてみてはいかがだろうか。

(文・黒宮丈治)

ライタープロフィール

1978年生まれ、福岡県出身。30種以上の職を渡り歩いた後、フリーライター/プランナーとして活動。取材記事を中心に、エンタメからビジネスまで幅広く執筆。アフターファイブは、いきつけの作業机で仕事。