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階段つれづれ 薬王寺町 奥野大児 階段コラム 新宿

階段つれづれ~物語・八「薬王寺町の“電ポジ”が不思議な階段」

奥野大児

奥野大児

名残が今に残る、というものの一つに地名があります。

皇居近くにある「半蔵門」という地名の由来の一説として、忍者で有名な服部半蔵が警備した門であったことからとの説があります。地名から往年をしのぶ。名前一つでタイムトリップできるって素敵です。

市谷の外苑東通り近くにあるのが市谷薬王寺町。江戸時代にあった薬王寺とその門前町が由来とのこと。明治維新の際に廃寺となりましたが、長く地名として、今も人々の記憶に残っているんですね。

その薬王寺町にある階段は「縦に伸びているもの」がなんとも不思議な階段でした。電柱のポジショニング=“電ポジ”が不思議な階段です。

東京都新宿区薬王寺町「電ポジの不思議な階段」

階段つれづれ 薬王寺町

右手の電柱、ちょっと違和感がありませんか?バランスが悪いというか、座りが悪いというか……。電柱だから立ち位置でしょうか。何か中途半端なんです。

反対側から見てみると圧倒的な中途半端です。

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この電柱が立ってから、右の敷地の工事がされたのでしょうか。それにしてもポツリとしている柱が不思議です。この建物や階段があるところに電柱を立てようとしたら、はたしてこの場所に電柱を設置するだろうか?そう思ってしまいます。しかし答えはここでは得られません。

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階段を鑑賞してみましょう。隣の敷地部分でしょうか。自転車を押せるスロープ的なエリアがあります。階段の構成は、中央の手すりから均等に左右の段があり、美しく設計されています。

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それぞれの段差も均等になっており、階段としての利便性は高そうですね。

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と思ったら、おばちゃんが右手のスロープを歩いていました。階段じゃないのかよ!

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この階段の中程には一本の木が植えられています。やや線が細いものの、階段を作る際にも切られず、大切にされてきたのでしょうか。上から15段目の踊り場的なスペース。そこから下が16段あることを考えると、階段の中央に位置すると言える場所です。

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踏み段の付近をみても養生が施され、町ゆく人にイタズラされにくい囲いがあります。この木はなぜここまで大切にされているのでしょう。気になる木です。
そして、この踊り場の下、木の根っこはどこまで生やしているのでしょう。昔からある木であれば、最下段のところまで根があるようにも思えますし、この階段に合わせて植えられたのであれば、階段部分の内側だけで根が這っているようにも思えます。

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最下段から頂きを望みます。上から見たときは電柱に目を取られて気にならなかった手すりですが、なかなかの意匠。わんちゃんの落とし物の注意書きが、彼らの目線の高さに貼られています。この掲示、人間は見やすいのでしょうか。

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おばちゃんが下りていた階段は、落ち葉が沢山ありました。おばちゃんが滑ることはないでしょうが、階段の落ち葉の少なさと見比べると、このエリアの掃除区分はきちっと決まっているようです。坂の敷地部分と思われるマンションの管理人さんの仕事になるのでしょうか?

周囲の道路状況から、この階段を使う人は少なくないと思いました。割とお年を召された方が何人か通られたことからも、大切な通路になっていると想像できます。

それにしても坂を歩くおばちゃん、人の目線にあると思えなかったわんちゃんの落とし物の注意書き、ふわっとした電柱と、突っ込みたくなることが沢山ある階段でした。

果たして、階段に突っ込みどころは必要でしょうか。

人間、突っ込みどころがあった方が人との交流はしやすくなるものです。
僕はわりと突っ込みどころが多いらしく周りの人にいじられることがままあります。

割と顔が赤いこともあり「今日はどこで一杯やってきたの?」というのが挨拶代わりになっている僕ですが、この階段はご近所の方々にどのような突っ込みを受けているのでしょう。

■階段情報をお知らせください
味のある階段をご存知の方、ぜひTwitter「@odaiji」までご一報ください。付近を立ち寄った際にはぜひ訪れたいと思います。

(文・奥野大児)

ライタープロフィール

1971年産の男。フリーライターやブロガー、ブロガーイベントの主催などをこなす。戦国時代が大好きで好きな武将は片桐且元。辛い食べ物は割と目がなく、ココイチは10辛が標準。非常階段に出て内側からロックをかけられるなど、割と運が悪い。