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奥野大児 階段徒然 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段

階段つれづれ~物語・伍「住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段」

奥野大児

奥野大児

国道246号の池尻から渋谷を見ると、まるでそびえるかのようにある「大坂」。国道246号にあたる道路が“厚木街道”と呼ばれていた江戸時代に、江戸から厚木までの間にあった48の坂の中で、急坂であり、もっとも大きな坂だったことから名付けられたそうです。現在の坂は当時に比べてゆるくなったとかならないとか……。

「大坂」をほとんど上りきった下り車線側にある、2009年に竣工した住友不動産青葉台タワー。このビルの裏手は、遠くは中目黒に通ずる住宅街へ向けて急な高低差があります。ここに今回紹介する階段があります。

低い位置となる住宅街側から大坂へ向かって階段を上っていきましょう。

東京都目黒区「住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段」

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段

くたびれた感じはありません。両脇にある植え込みは小洒落ています。

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段 階段徒然

しかし、手すりは十分に握り込まれ、長い月日が経っていることがわかる階段です。中間踊り場を挟んだ25段ほどは表情も変えずに淡々と上っていけます。高低差の大きな地域ですので運動不足の身には堪えます。「大坂」ならぬ「大階段」ですね。

景色が変わってくるのは25段すぎ。

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段 渋谷

謎の扉。謎の敷地。ビニールが敷かれ、重しに石が置かれ

「これまで何があった場所なのだろう」

「これから何ができる場所なのだろう」

と推理したくなるような、しっかりと塀で囲まれたスペースがありました。

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段 渋谷 併走

おや……。

しばらく上がると、今度は階段が2つ並びます。

事情はわかります。右側は、以前からあった階段。左側は、ビルの建築に合わせて作られた階段。

以前からあった階段だけを見たときには手すりを見ない限りくたびれたものとは思いませんでしたが、新しい階段と並んでしまうと、年月が経っているのは瞭然。長きに渡って地域の高低差をカバーし続けてきたのだなということがわかります。

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段 渋谷 ビル

古い階段・新しい階段・ビルが並んだ姿を見ると、新しい階段は青みがかったビルのデザインに合わせていることがわかります。ビルのインパクトが大きいですから、どうしても新しい階段が全体的な風景にマッチしているように感じられてしまいます。

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段 刑事

時を隔て作られた2つの階段は歩幅を合わせています。

段の高さや踊り場の構造が同じなんですね。モテる男は上手に相手に合わせられるといいますが、この新しくスタイリッシュな階段もまさにそんなイケメン。ミドルエイジな階段を敬いつつ、しかも自己の主張は忘れずに、そこに居るんですね。

奥野大児 階段コラム 住友不動産青葉台タワー脇の並走する階段 渋谷区

それにしても新しい方の階段、タイル状の作りといい、色合いといい、脇に掘られた溝といい、美しいフォルムです。洗練されています。

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現場で聞き込みをし、目撃者を必死に足で探しているベテラン刑事に向かい

「今は防犯ビデオを活用し、通信を傍受して捜査をする時代ですよ」

と言いながらもベテラン刑事を立て、捜査に付き合うイケメン若手刑事。

そんな若手刑事を頼もしく思う、清潔だけれど使い込まれたトレンチコートを羽織っているベテラン刑事。

そんな名コンビが頭をよぎりました。

■階段情報をお知らせください
味のある階段をご存知の方、ぜひTwitter「@odaiji」までご一報ください。付近を立ち寄った際にはぜひ訪れたいと思います。

(文・奥野大児)

ライタープロフィール

1971年産の男。フリーライターやブロガー、ブロガーイベントの主催などをこなす。戦国時代が大好きで好きな武将は片桐且元。辛い食べ物は割と目がなく、ココイチは10辛が標準。非常階段に出て内側からロックをかけられるなど、割と運が悪い。