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階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

階段つれづれ〜物語・四「道玄坂小路からホテル街へ抜ける階段」

奥野大児

奥野大児

渋谷で創業60年を超える台湾料理店・麗郷。道玄坂から東急本店側に抜ける道玄坂小路に構える老舗です。その脇に円山町のホテル街に抜ける階段があります。

階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

幸せな愛、 清き愛、尽くす愛、報われない愛、愛無き愛……

男女が愛のひとときを過ごす場所・円山町のホテル街で、様々な愛を見届けている階段をご紹介いたします。

東京都渋谷区・円山町「道玄坂小路からホテル街へ抜ける階段」

麗郷を右手に見てY字路の左にある階段を上ります。

下から見上げる階段沿いの右側には男性が1人でお邪魔する、古くからの風俗店が並んでいます。渋谷で、ひとり遊びをされる方なら、お世話になったことのある方もいらっしゃることでしょう。

階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

赤褐色の階段は高さも奥行きも微妙にバラバラ。ただ、全体的に段差は低く、踏み面の奥行きは長い作りになっています。これが、私のように典型的な日本男児的足の長さを持つ者にとっては、非常に歩き辛いステップを刻ませる階段であったりします。

階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

全三十三段。どうにも各段の面が平らになっていないように感じます。まったくバラバラでもない。きちっと一直線にもなっていない。端の部分だけちょっとお辞儀しているところは男女の仲が一筋縄でいかないことを暗示しているかのようです。

階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

上から九段目と十段目の間にはこの微妙な段差が。この「9.5段目」の段、階段全体で考えてみると全く必要性がありません。おそらくこの階段、行政が絡んで設計されたものではないのだろうなあと、勝手に想像しながら歩を進めてしまいます。

階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

隣接するビルの敷地にも、階段状のエリアがあります。下から十段と少しのところには、筆者が若かりし日にはなかったはずのコインロッカーが設置されていました。

外国人観光客と思しき方が荷物を預けていました。宿泊先だろうと、ご休憩だろうと、ホテルを利用するなら部屋に荷物を置けそうなものです。あのブロンド美人はなぜコインロッカーに荷物を預けたのでしょう?

階段つれづれ 道玄坂小路 渋谷ホテル街

上から見下ろし、ラブホテルを背に撮影しました。お店に勤めておられると思しき女性や、道行くカップルからは微妙な視線を頂戴します。

腕を組みながらこの歩き辛いステップを上る2人の人生の足並みは、揃うのか揃わないのか?揃わないのは階段の足並みだけで、2人の気持ちは揃っているのか?

もやもや考えさせられる艶のある階段。

「あなたに彼女ができないなんて信じられない。こんないい人なのに」

お酒を飲みながら優しいことを言ってくれる女性に限って「じゃあ、付き合おうよ」というと、困ったような笑顔だけを返してくるものです。

ご多分に漏れずそんな対応をしてきたこの間のあの女(ひと)を渋谷駅近くまで見送り、僕はこの階段を、苦い薬を飲んだ直後のような顔で独り下から見上げるのでした。

■階段情報をお知らせください
味のある階段をご存知の方、ぜひTwitter「@odaiji」までご一報ください。付近を立ち寄った際にはぜひ訪れたいと思います。

(文・奥野大児)

ライタープロフィール

1971年産の男。フリーライターやブロガー、ブロガーイベントの主催などをこなす。戦国時代が大好きで好きな武将は片桐且元。辛い食べ物は割と目がなく、ココイチは10辛が標準。非常階段に出て内側からロックをかけられるなど、割と運が悪い。