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このマンガがすごい! 2013年

因習を終わらせるために出会った夫婦「千年万年りんごの子」第2回〜夫婦編〜

ブルネイ

アフターファイブに読んで欲しい漫画たち。前回に引き続き、神に挑む主人公を描いた「千年万年りんごの子」を紹介します。今回は、主人公夫婦にスポットを当てた『夫婦編』です。

【関連】妻を守るため、神に挑む「千年万年りんごの子」第1回〜因習編〜

他人から夫婦へ……

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打算で結婚した主人公・雪之丞とヒロイン・朝日でしたが、他人であった2人の関係は徐々に、まっとうな夫婦へと形を変えていきます。

そのまま仲睦まじく過ごし、子供を産み育て、老いていく未来が待っていれば良かったのかもしれませんが、その明るい未来は、りんご村の因習“嫁立て(メタテ)”によって壊されてしまいます。ところが、村の神・おぼすな様の嫁を村の女性から差し出すこの因習が、皮肉にも更に2人の絆を強めてしまうのです。

捨て子だった雪之丞は幼少期、常に良い子であろうとしました。自分から血の繋がりがないことを周りに言い、家族とは無関係であることを主張していた彼の結婚は、人生を大きく変えるほどのことだったのです。

どこか近寄りがたい雰囲気を出す雪之丞に対し、朝日は屈託のない笑顔で笑う女性。対照的な2人は、単なる目的の遂行の為に結婚をしますが、やがて互いのことを想い合う関係となります。ようやく幸せを手に入れようとしていた矢先の別れ。それが物語を大きく盛り上げる要因となっているのです。

喪いたくないと思えるほど大事な人

千年万年りんごの子 悲恋
りんご村での生活は、雪之丞にとって朝日との繋がりを何ものにも代えがたいものへと変えました。
その変化は、様々なところに現れます。代表的なものが「呼び方」です。

当初、雪之丞は朝日のことを「朝日さん」と呼んでいました。朝日がメタテに選ばれた後も“さん付け”で呼び続けますが、とある事件から「朝日」と呼び捨てになります。

雪之丞が朝日を、自身の実家のある東京に連れ出した時のことです。メタテから逃れるために逃亡した2人でしたが、逃亡した朝日に変わり、朝日の姪っ子が神隠しに遭ってしまうのです。姪っ子を取り戻すために雪之丞たちは村に戻るも、姪っ子の手掛かりは一切なしの状況。

八方ふさがりの中、朝日だけが落ち着きを見せ、1人霧の中へ行き、姪っ子を抱えて戻ってくるのです。東京に行けば、おぼすな様から逃れられる。その考えが甘かったことを思い知らされた雪之丞。そして、朝日や村長から東京に戻るように命ぜられるのです。

朝日の家を追い出されるも、彼女と離れたくなかった雪之丞は村に残ります。

――メタテを途絶えさせる。

強い思いは、雪之丞を動かしていきます。そこから、彼は「朝日」と呼びすてするようになったのです。喪いたくないと思える相手に出会えたこと。その奇跡は雪之丞にとって最大の幸福です。そして、朝日にとってもそれは同じなのです。

雪之丞は朝日を守りたく、朝日は雪之丞を巻き込みたくない。

互いの強い思いがせめぎ合う本作は、情熱にあふれており、先の読めない展開に大きな興奮を覚えます。自分たちの幸せでなく、因習を終わらせるために出会った夫婦がどんな結末を迎えたのか。ぜひ読んで、そのラストを見届けてください。

(文・ブルネイ)

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「千年万年りんごの子」

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。