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このマンガがすごい! 2013年

妻を守るため、神に挑む「千年万年りんごの子」第1回〜因習編〜

ブルネイ

ブルネイ

アフターファイブに読んで欲しい漫画たち。今回紹介するのは、田中相原作「千年万年りんごの子」です。

妻を守るために、村の因習、そして神に挑む本作。『因習編』『夫婦編』と計2回にわけて、本作の魅力を紹介したいと思います。今回は『因習編』です。

りんごの村への婿入り

千年万年りんごの子 泣ける
りんごを育てる村の住人・朝日の家に婿入りをした主人公・雪之丞。拾い子の雪之丞は早く実家から出たいと願い、そして妻となる朝日はりんご園のために婿が欲しいと願う。お互いに恋愛感情ではなく打算で決めたのが2人の結婚でした。

誰に対しても一歩引いた態度だった雪之丞ですが、朝日と彼女の家族、そしてりんご栽培を続ける日々で、徐々に彼の心の氷が溶けていきます。

しかし、平穏な生活が続いていくと思った矢先に1つの事件が起きます。

ある日、朝日が生死を彷徨うほどの高熱を出してしまうのですが、彼女の容体を心配した雪之丞は、 “黒森”と呼ばれる森の中で、不思議なりんごの木と出会うのです。少しでも回復してほしいと願う雪之丞は、そのりんごを持ち帰り、朝日に食べさせると途端に容体が回復します。

ところが、容態の回復と引き換えに、朝日の髪と爪は異様に伸びてしまうことに。雪之丞が持ち帰ったりんごは「おぼすな様のりんご」と呼ばれる、食べてはいけないものだったのです。

村の因習

千年万年りんごの子 夫婦
りんご村にはかつて嫁立て(メタテ)という祭儀がありました。村の神様・おぼすな様のりんごを食べた嫁は、おぼすな様の妻となる。つまりは、人身供犠。1人女性を犠牲に村は自然の恩恵を受けていたのです。

村民たちは、意を決し60年前にそれを絶やしたのですが、雪之丞が朝日におぼすな様のりんごを食べさせてしまったことで祭儀が復活してしまうことに……。

雪之丞は村の外の人間。嫁立てのことおろか、おぼすな様の存在自体知りません。しかし、“知らなかったでは許されない”村の因習が雪之丞と朝日の仲を引き裂きます。

千年万年りんごの子 泣ける

「隠された村の因習」「閉鎖的な空間」「本物の神」など、昔ながらの日本の要素が詰め込まれた本作。何も知らなかったがゆえに間違いを起こした雪之丞ですが、彼はそのまま朝日を手放してしまうわけではなく、おぼすな様から朝日を取り戻す決意をするのです。しかし、その決意が出来たのは、彼がおぼすな様の怒りを“知らないから”。

「消し去った因習をよみがえらせたこと」
「その因習に逆らうこと」

2つの禁忌を破る雪之丞は異質な存在です。

そんな彼がりんご村の奥深くにある秘密に迫っていき、徐々に紐解かれる秘密はまるでミステリーのようにわくわくします。一度は途絶えたメタテはどのようにして封じることができたのか。それが明かされる瞬間は思わず息を呑んでしまうような怖さが秘められています。

次回は『夫婦編』と題して、雪之丞と朝日について紹介します。

(文・ブルネイ)

【関連】因習を終わらせるために出会った夫婦「千年万年りんごの子」第2回〜夫婦編〜

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「千年万年りんごの子」

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。