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波よ聞いてくれ  沙村広明

カレー店員からラジオDJに!?華麗なる転職漫画「波よ聞いてくれ」

ブルネイ

ブルネイ

アフターファイブに読んで欲しい漫画たち。今回紹介するのは、「無限の住人」の作者・沙村広明の「波よ聞いてくれ」です。本作は、ラジオ業界に飛び込んだ主人公・ミナレの活躍を描きます。

華麗なる転職

波よ聞いてくれ  沙村広明

25歳で 、福岡出身の光雄 と別れた主人公・鼓田ミナレ。ある日、居酒屋で偶然隣の席にいた麻藤兼嗣に愚痴を吐きまくり、そこで記憶が途切れます。

愚痴を吐きまくったことで、失恋の痛手から立ち直りかけた彼女、しかしある事件が起きます。

勤務先のカレー屋で、ラジオから「とある女性の福岡男性へのディスり」が流れてきたのですが、その声の主は、ミナレ自身だったのです。

ラジオを聴き、全速力で店を飛び出したミナレ。彼女は、そのままラジオ局に殴り込みをかけると、そこにいたのは居酒屋で会った麻藤だったのです。彼はラジオディレクターでした。

録音テープを止めようとするミナレ。しかし麻藤は、止める代わりにマイクの前で1分間間をもたせろと要求します。それに応え、ミナレは勢いよく福岡へのディスりの弁明をし、最後にこう言ったのでした。

「光雄! お前は地の果てまでも追いつめて殺す!!」

(「波よ聞いてくれ」 第1巻 第1話p32.より)

ミナレ自身は気づいていなかったですが、彼女はどれだけマシンガントークで話しても「噛まずに喋れる」という特技をもっていたのです。アイドルのために企画を考えるのに飽き、一からDJを育ててみたくなった麻藤はミナレに「世界を獲ろう」と持ちかけてきます。

ここから、ミナレのラジオDJとしての人生が始まります。

異色の世界のラジオ業界

本作でラジオ業界は“斜陽”と称されます。しかし、ラジオはテレビと比較すると 自由な世界です。その中で作った企画が成功するか、失敗するのかはリスナーの反応次第です。

本作では、博打ともとれるラジオの企画を立てるディレクターと、そんな土俵に立つDJの姿が描かれています。

ラジオは音のみの世界。そのためDJが喋らないと、リスナーからは放送事故と思われてしまいます。また、反応をくれるリスナーはスタジオにはいません。そんな中マイクの前に1人座り、自身のトークで進行しなければいけないDJの仕事を時にギャグを交え、時にシビアに描きます。

前進あるのみのヒロイン

波よ聞いてくれ  沙村広明

居酒屋で麻藤にクダを巻いたミナレのトーク時間は26分。お酒が入っていたにもかかわらず、この間1度も噛まなかったことに加え、ラジオ局に乗り込んでくる勢いの良さ。喋り倒す口と、常に猪突猛進な姿。落ち着きとは無縁なのがミナレというキャラクターです。

第1話ではラジオ局に殴り込み、流されるままにマイクの前に座らせられるものの、1度も口を閉ざすことなく話し続けて、最後はきれいに締めます。恥や羞恥心をおくびにも出さず、全てをさらけ出していく姿は赤裸々ヒロインといっても過言ではありません。

周囲の人間にミナレがツッコミを入れ、軽快なギャグを生んでいく本作は、全体的に明るいストーリーです。能動的なキャラの主人公が漫画のストーリーは、前に、前に進んでいきます。主人公のミナレが、ぐいぐいストーリーを引っ張っていってくれる本作は、さらっと読むことができ、読むたびに爽快感があります 。

既刊・3巻であるため、ミナレのDJとしての活躍はまだまだこれから。今後の活躍に期待です。

波よ聞いてくれ  沙村広明
「波よ聞いてくれ」

(文・ブルネイ)

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。