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げんしけん 二代目 木尾士目

腐女子・男の娘・ハーレム…サークラ!「げんしけん」第3回〜続編〜

ブルネイ

アフターファイブに読んで欲しい漫画たち。前回に引き続き、“現代視覚文化研究会”(以下、現視研)で過ごすオタクたちの生活を描いた「げんしけん」を紹介します。
最終回となる今回は『続編』です。先日最終巻が発売された「げんしけん 二代目」は、世代交代をした現視研メンバーと、OBとなった斑目たちのその後を描いています。

第1回:こんな青春を送りたい!オタサーは変人ばかり「げんしけん」第1回〜オタク編〜
第2回:オタサー内の恋ってどんな感じ?「げんしけん」第2回〜恋愛編〜

現視研の新会長は荻上

前作の主人公で現視研の会長だった笹原完士は大学を卒業。その後、会長に就任したのが笹原の彼女・荻上千佳です。現視研に残ったメンバーは4年の大野加奈子と、唯一の男性会員である朽木学のみ。

そんな中、春の新歓祭で入会したのが波戸・矢島美怜・吉武莉華、そして「げんしけん」時代から度々登場し、本作から日本に留学したスザンナ・ホプキンス(以下、スー)です。朽木以外は女性ばかりで、さらに全員腐女子(※1)となった本作。前作の「げんしけん」とは大きく状況が変わり、また一味違うオタクたちの日常を垣間見れます。

(※1)腐女子…主にBL(ボーイズラブ)と呼ばれる、男性同士の恋愛を描いた作品が好きな女性を指す。

現視研に波紋を呼ぶ、腐男子の“男の娘”

げんしけん 二代目 男の娘
「げんしけん」では、オタクでは無い春日部咲がオタサー・現視研にいたことによって、彼女の存在が際立っていました。本作も同じように現視研一石を投じるキャラクターがいます。

それが、新人会員の波戸賢二郎。彼はれっきとした男ですが、見た目も声も完全に女というハイレベルな男の娘(※2)なのです。

咲の時は違って、オタク趣味をもつ波戸ですが、隠れ腐男子(※3)であったことから仲間ができず、一念発起して現視研に入会をしたのです。同期の矢島は女装で現視研に来ることに思うところはあったものの、他のメンバーがすんなり受け入れたことから新生・現視研ができあがります。

前作同様にちょっぴり変わったメンバーが集まった現視研は、腐女子と腐な男の娘を迎え、波乱に満ちた展開を迎えます。

(※2)男の娘(おとこのこ)…従来の女装とは違い、服装やメイクだけでなく、仕草など全てを完璧な女性に仕上げた男性のこと。恋愛面においては女性が好きであるなど、性同一障害とは違った、女性らしさを追求する男性を主に指す。
(※3)腐男子…腐女子と同様にBLが好きな男性のこと。

 社会の一歩前で止まる斑目

本作の主役は新入会員の波戸たちですが、裏の主役なのが前作から引き続き登場する斑目晴信です。本作の魅力のひとつが、彼の存在です。

彼は就職後も片思い相手・春日部咲を目当てに現視研に顔を出し、咲が卒業した後も現視研を訪れていました。大学の近くに自宅があったことで、波戸が女装するために部屋を貸すことになったのです。

卒業した「げんしけん」メンバーの中で、斑目は唯一大学に心残りがあり、社会人になってもずっと過去にとらわれていました。好きなアニメを観て、学校に来ればそれを語れる仲間がいた学生時代。その時間はもう戻ってこないことを斑目自身も分かってはいましたが、気持ちが追いついてきませんでした。

また、斑目が卒業できずにいる大きな理由が、“咲”の存在です。

斑目は、咲に恋人がいてもずっと好きなままでした。自分が卒業し、彼女が卒業を迎えても告白もせずに卒業を見送ってしまったため気持ちの整理できず、新しい生活も始められずにいたのです。片思いが消化不良となったことで前を向けず、思い出に逃げ込むために、卒業した現視研に入り浸る……彼はこじらせてしまったのです。

斑目の気持ちに気づいた波戸は、咲に告白をさせる手段に出ます。

部室に2人を隔離し、強制的に2人っきりさせたことによって斑目もその意図に気付き、気持ちを奮い立たせて咲に告白をします。ここで、前作では語られなかった咲の気持ちも明らかになります。

彼氏のことがずっと好きな咲と、咲のことをずっと好きな斑目。

この一方通行だった斑目の恋にようやく決着がつく瞬間は、ずっと恋路を見守り続けた読者にとって万感の思いです。前作までを読まれた方は特に必見の場面です。

 ハーレム完成!?斑目、オタサーの姫(?)になる

げんしけん 二代目 斑目ハーレム
本作のもうひとつの魅力が、現・現視研メンバーを巻き込んだ“斑目ハーレム”です。

不毛な片思いを続ける斑目の一途とも呼べる姿に周囲の女性は魅了され、スーをはじめ2人の女性がアプローチ。男である波戸までもが惹かれるという事態に発展します。

斑目の立場はまさに、サークルクラッシャーなオタサーの姫。内部分裂の原因です。

さらに斑目は咲を想い続けながらも、突如できあがったハーレムを受けいれることも突き放すこともしないというヘタレを見せます。成就する可能性の低い片思いと、自分を取り巻くハーレム。斑目の恋はまさに前途多難です。

そして現視研で唯一、波戸の女装に否定的だった矢嶋は、後に波戸を意識しはじめるようになります。普通のオタサーだった現視研は、なぜか片思いフラグが立ちまくるサークルへとなっていくのです。

21巻で完結する本作。「げんしけん」では描かれなかった斑目の“卒業”を描き終了となります。斑目と咲はくっついたのか?ハーレムは崩壊したのか?その結末は読んで確かめてください。

げんしけん 二代目 木尾士目
「げんしけん 二代目」

(文・ブルネイ)

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。