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影崎由那 かりん

幸せとは何か?―落ちこぼれ増血鬼の恋「かりん」

ブルネイ

アフターファイブに読んで欲しい漫画たち。今回紹介するのは、増血した血を人間に注入する落ちこぼれ吸血鬼が主人公の漫画「かりん」です。

吸血一家に生まれた異端児・増血鬼の真紅果林と、果林の秘密を守ることになった人間・真水健太の種族を超えた恋愛が描かれます。

血を吹きだす異端児の増血鬼

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主人公・真紅果林のもとに雨水健太が転校生としてやってきたことから、彼女の平穏な学園生活は崩れ去ってしまいます。彼女は、雨水を見ると心臓がバクバク鳴り、呼吸が早くなってしまいます。一目ぼれのような症状ですが、果林の場合は違います。

彼女の正体は、人間ではなく吸血鬼。しかも、異端児の「増血鬼」だったのです。

吸血鬼には嗜好があり、ストレスが多い人、プライドが高い人などそれぞれの好みに合った人間の血を吸います。果林の嗜好は「不幸な人」。その人を見ると血が急激に増え、誰かに噛みつかないと血を吹きだしてしまうのです。

果林の学園に転校してきた雨水は「不幸な人」。しかも不運なことに、果林と自宅も近く、バイト先も同じという偶然が重なります。

極めつけは、雨水のせいで増えた血を外に出そうと噛んだ女性が雨水の母親で、その場面を雨水に見られてしまったことです。雨水に接近すれば接近するほど血が増えてしまうのに、さらに正体までバレテしまいそうなこの状況は果林にとって非常にまずいものでした。

なるべく会わないようにして露骨に避けるものの、それが逆効果となります。

不信感を抱いた雨水は、「なぜ自分の母親に噛みついていたのか」「なぜ避けるのか」と果林を問い詰めようとし接近します。そして、果林の腕を掴んだ瞬間、彼女は大量に血が増えてしまい、鼻血の噴水となって外へ大量に出してしまうのです。

血を吸うはずの吸血鬼が自身の血を吹きだす。一般的な吸血鬼とはあべこべな設定が本作の大きな魅力となっています。

予想外、人間に恋した増血鬼

最終的には果林の正体は雨水に知られることになるのですが、雨水は果林を気持ち悪がったりせずに秘密を守ってくれます。他の人間に正体がバレそうな時にはフォローに回るなど、頼もしい姿を見せてくれます。

家族や友人たちに囲まれていても、果林は増血鬼。吸血鬼でも人間でもない半端者の果林にとって、雨水は初めて心を許せる存在でした。拒絶されることに大きなトラウマをもつ雨水もまた果林にシンパシーを感じ、互いに恋心を抱くようになります。

異種間恋愛、雨水のトラウマ、そして果林の増血の謎。

次々と壁が立ちはだかり、果林と雨水の恋を阻んできます。しかし、ラブコメを貫く本作のラストはきっちりハッピーエンドを迎えます。

恋愛漫画は感情の交錯が描かれることからドロドロした展開になりがちですが、「かりん」では果林も雨水もぶれることなく相手を想っているため、安心して最後まで読めます。

幸せのあり方を問いてくるラスト

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本作はハッピーエンドを迎えると先述しましたが、それは条件付きの幸せです。果林は雨水と一緒になることと引き換えに、ある大切なものを失うことになります。

最後は結ばれる2人ですが、それはあくまでも大切なものを失って得た幸せ。

「幸せとは何か?」を問いてくる本作のラストは、嬉しいけどしんみりする、複雑な気持ちを味わせてくれます。

吸血鬼 漫画

「かりん」

(文・ブルネイ)

ライタープロフィール

AFTR5編集部
女の子座りができないブルネイです。
地べたに座るのが苦手、掘りごたつ派。